[0074] 私のブッシュ! (2003/04/11)
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「暁の七人」のティモシー・ボトムズがブッシュ大統領を演じたシットコム"That's My Bush"は、2001年に8回分だけが放映されただけで、長寿命を得るには至らなかった。しかし、ネットには関連サイトがいっぱい残っていて、一部にはカルト的人気をえた作品のようだ。全作品の脚本が保存されているサイトも見つけたので、ここでは第1回放送分を紹介してみたい。一部画像を参照するので、こちらのほうにアップすることにした。 -------------------------- 第一回放送脚本(2001年4月4日放送分) ブッシュ大統領夫人、ローラは年甲斐もなく派手なドレスを着込み、その夜約束していたディナーを大統領が忘れていないか確かめる。すっかり忘れていたブッシュ大統領だが、あわてて覚えていたふりをする。ローラ:貴方が大統領職で忙しいのは知ってるけど、二人きりの時間をもつのはもっと大事なのよ。 ブッシュ:もちろんさ、私にとっても同じだよ。今夜をワシントンに来てから最高の夜にしよう。 ローラ:ありがとうジョージ、貴方は最高よ。(独白で)しょっちゅう最低野郎になるけどね。 ブッシュ:ホホー、ローラ、最近、君の顔にパンチを食らわしたくなるよ。 その後、大統領は国民向けTV演説を始める。 大統領:親愛なる合衆国国民のみなさん。今週、私は中絶問題によって分裂している国論の統一を図ろうと考えております。これは歴史的会談であります。中絶はきわめて深刻な問題で、かつ個人的な問題でもあります。そして、ここで私は今夜ローラとのディナーの約束を忘れないことも確認させていただきたい。ええっと、つまり今夜はベストをつくすという意味であります。よき夜を。 演説原稿に確認メモをはさんだローラに小言を言っているところに、個人秘書のプリンセスがあわてて駆け寄ってくる。 プリンセス:大統領、大変です。スケジュール用コンピュータを確認しておりましたら、大統領がジンシアン星人から地球を救うためには、10分しか時間が残されていないのがわかりました。 大統領:コンピュータって君、それ、ゲームボーイじゃないか。 プリンセス:ええっと、そうですね。じゃこれは?(ハンバーガーをみせる) 大統領:チーズバーガー! プリンセス:ハイ… 大統領:いいかいプリンセス。ちゃんとしたスケジュールを見せなさい。 大統領は秘書と部屋をでていき、残ったローラが、ブッシュが自分のことを気にかけてくれないとメイドのマギーに嘆き、二人の掛け合いになる。 マギー:貴女はファーストレディ症候群になっているのよ。きっと。 ローラ:ほかの大統領夫人はどうしてたのかしら。 マギー:簡単よ。旦那が大統領になったら、結婚はおわったものと思いなさい。素敵な理由でしょ。傷ついた心を隠して、そうね、麻薬撲滅運動とか、重症火傷の被害者とか、ホームレス救済運動をするの。 ローラ:いやだわ。私はこの結婚を信じているの。ホームレスや火傷被害者を救う衝動と必死に戦って、この結婚生活を守るのよ。 マギー:勝手になさい!! 大統領執務室。補佐官のカールが、中絶反対派の代表者と中絶擁護派の代表者とを一堂に会してディナーをやるというブッシュの案に難色を示す。大統領:いいかい、カール、私は調停者なんだ。明日の夜、私は歴史を作るんだよ。 カール:明日の夜?会談は今夜なんですが。 大統領:なんだって、明日の夜だといったのは君だぞ。 カール:いいえ、大統領が、昨日、翌日にスケジュールをとるように言われたのです。そして今日が昨日の翌日なんです。 大統領は必死にスケジュール変更を頼むが、中絶反対派代表はすでにホワイトハウスに向かっているので、もう遅いといわれる。それに、その代表というのが普通でないのだと。 カール:代表は30年前、中絶されて生き延びた経験を持ち、恨み辛みが並ではありません。それに、彼は「予定の中止」というのを憎んでいます。 大統領:なんてこった、ローラは怒り狂うぞ。なんとか予定をずらさせるよう工夫しなきゃ。 ![]() 大統領は様々な手を使うが、ローラは納得しない。「個人的利害よりも国益を優先しないといけない」という決まり文句も通じない。大統領はカールのところへいき、なんとか会談予定の変更をせまるが、例の中絶反対派代表はすでに到着しているという。しかも代表というのは、30年前に中絶された胎児のままの姿なのだという。フォーマルウエアがいるから予定を延ばしたら、などと大統領はいうが受け入れられない。プリンセスは代表にテデイベアの着ぐるみを着せたらと提案するが、当然却下。 再びローラのところに戻る大統領。しかしローラは取り合わず、「じゃ、ディナーでね」と去っていく。そこに現れたのが隣人のラリー。この男はいつも勝手知ったる他人の家という感じで、気軽にふらふらとホワイトハウスに入ってくるという設定。 ラリー:ハーイ、ジョージ。お気に入りのお隣さんだよ。ジョージ、君んとこの芝生に、スニューが散らばってるぜ。 大統領:スニューってなんだい?ラリー。 ラリー:そんなものないよ。君にはどんなスニューがあるの?(What's snew with you?に持っていくためのギャグらしいが、この常套句は変形されつつ最終回まで、隣人のもちネタになる) ラリーに窮状を訴える大統領。ラリーはこともなげに、これだけ広い建物なんだから、一度にやってしまえばいいと助言する。この案に飛びついた大統領、早速その手配。かくて大統領は、コメディア・デラルテのアルレッキーノのごとき大奮戦をすることになる。マリアッチバンドまで用意した演出で、すっかり盛り上がったローラは、昔ジョージからバレンタインプレゼントにもらったスキーパーカに身を包んで、メインダイニングで愛を交わしたいと言い出す。メインダイニングのほうは例の胎児代表と反対派の女性闘士がつかみ合いのけんかになっている。大統領は必死にとりなすが、この日のために作られた特大ケーキに突っ込まされたりの散々な目にあう。 擁護派闘士に壁に投げつけられた胎児代表は、大統領の飼い犬に乗っかってホワイトハウス中を走り回る。そこに全裸の上にスキーパーカを着込んだローラが入ってきて、悩ましげに体を露出するという大混乱。「あ、こりゃ大失敗だったようだわねぇ」とマギーがぼやきつつ、場面転換。 ![]() リビングルームで話し合う大統領夫妻。 ローラ:ジョージ、あなたにはすべての人の意見をまとめることなんか出来ないのよ。中絶反対派も擁護派も、ある意味両方正しいんだから。あなたは自分のやり方を私にも通せばいいのよ。わかる?ジョージ、あなたはいい大統領じゃないかもしれないけど、時々まあまあの旦那にはなるんだから。 大統領:ホホー、ローラ、最近、君の顔にパンチを食らわしたくなるよ。 ベッドルームで寄り添う大統領夫妻。 大統領:ローラ、君にくびったけさ。君は世界で最高の女性だよ。 ローラ:ジョージ。まあ、ジョージ、ダメよそんなことしちゃ。 大統領:なんだって?? ローラ:悪い子ね、ジョージったら。 そこにシーツの下から例の胎児がひょっこり顔をだす。 「やあ、パーティの続きかい?」 ---終わり--- 脚本はマット・ストーンとトレイ・パーカー。かのお下劣アニメ、「サウス・パーク」のコンビである。連続モノにならなかった理由はよく分かる。しかし、もしあのまま長寿番組になっていても、その年に9・11が来るのである。 「もし」を言うなら、9・11テロがおこらず、、この番組が描くように、ちょっとトンマだが愛すべき大統領としてブッシュ氏がみなされているような現実だったらどれほど素晴らしいことであったろうか。失われたものはあまりに大きいと思うのである。 なお、「暁の七人」からは想像もつかない喜劇役者ぶりをみせた(のかどうかは見てないから知らないが)ティモシー・ボトムズは、今年3月にTV放映された「DC9/11」というテロを描いたドラマでも、ブッシュ大統領その人を演じている。 "That's My Bush"全脚本 http://www.spscriptorium.com/TMB/TMBScriptGuide.htm "DC9/11" http://us.imdb.com/Title?0356498 |